森と湖に親しむ🎵~手取川ダム&手取川第一発電所見学会♪

山と雪のエリア 【白山市女原地区】
白山手取川ジオパーク「水の旅案内人 “pochi”」です。

森と湖に親しむ旬間というイベントに乗じて
手取川ダムと発電所を見学してきました♪

森と湖に親しむ旬間

「森と湖に親しむ旬間」 をご存じでしょうか?

ダムや森林の役割をより身近に感じてもらい、その重要性を理解してもらうことを目的として、国土交通省と林野庁が、毎年7月21日から31日までを定めているもので、全国各地のダムを中心に、ダム見学会や森林学習などさまざまなイベントが開催されています。
で、石川県を代表するダムといえば「手取川ダム
ダムと発電所の見学会が開かれるというので、やってきました!
手取川ダムは、管理用地内に落石の危険のある斜面があり、通常は入場できません。ダム見学は、平日、団体客のみ(事前申込が必要)となっており、ひとりで気軽に訪れたいダム好きにはちょっとハードルが高い…
そして、手取川ダムといえば、その下流で大量の水を受け入れてる「手取川第一発電所」も見逃せません!
かねてから一度は訪ねてみたいと思っていた「聖地」を今回は一気に見聞できる!まさに好機到来!

好機…は、いいけど、定員があるのね💦

午前と午後でそれぞれ30名、で?事前予約は?…できないか
当日受付のみ、先着順ということなの
で、受付開始30分前(9時)を目安に現地に向かう。

心配なのは暑さと、一車線しかないR157の渋滞?
でもまぁ、そこは余裕もって出てきたので、特に問題もなく

着いてしまった!
駐車場に車の数は2・3台…えっ! まさか一番乗りとか⁈
いやいや、それは甘い(笑)
受付開始までまだ30分あったけど、すでに立ち並ぶ人の姿が…
一番乗りは、ダム好きな友人女史でした!
日本全国のダムに足を運んでいる彼女の傍らには、県外から来たという “ダムマニア” が⁈
ダム見学は、全国各地で一斉に行われているので、他ダムに行ってもよさそうなのに、わざわざ手取川ダムを選んで来てくれたことが嬉しいー♪
暫し、歓談、どんどん期待が高まってきたよ―♪

場内の片隅には、昨日開催されてたイベント「流木無料配布」の残骸(失礼!)が…。
残りモノといってもユニークな形のものばかり!自分だけの御宝発見ができるかもしれません♪

手取川ダム見学

10時、ゲートが開き、先導する手取川ダム管理支所の車をマイカーで後追いして管内に入りました。
参加者は30名近くになっていたし、てっきりバス使用だと思ってたのが、外れました(笑)

手取川ダムの堤体長は、420m。幅10mほどの舗装路をゆっくり走っていると、古代遺跡のように曰くありげな石たちが見えてきました。鎖で繋がれた境界の石たち、ロックフィルだなーを実感♪

車を止めるわけにもいかず、見送ったけど、何かを語りかけているような…風情でした♪

<手取川ダム管理支所>

420mは、車には短すぎる…。あっというまに管理支所に到着。
ゲートの操作を行ったり、ダム湖を巡視したり、文字通り、ダム湖の維持管理をしているところ
建物前の駐車スペースに順序よく車を止め、玄関に入るとそこでは…
手取川ダム解説模型」が、お出迎え♪
湖底に見えるのは、工事中に造られた道路の跡かなー。なんだか見ているだけで愉しくなってきた♪
断面図はまさに標本!中心にある粘土質の遮水壁が水を通さないようにできてること。
ダムに掛かる圧力を小さくしてくれているのは、上流下流に盛り立ててあるこの緩勾配。
ロックフィルならではの原理!凄い♪
視聴室で、手取川ダム紹介ビデオ鑑賞(15分ほど)
ここに、二頭身のゆるキャラ “ダムズメンⅤ” が登場!
手取川ダムの5つの役割をキャラクター化したもの
洪水 レッド
水道 ブルー
発電 イエロー
環境 グリーン
親しみ オレンジ
私的には “手取湖宣隊(テドリコセンタイ) ”っていう
キャッチコピーにセンス感じるんですけど(笑)
手取川ダムが果たす役割を、それぞれのキャラで解説しています。洪水調節(ゲートの開閉)判断を迫られた操作室内でのやりとりは、こちらも緊張しました💦 よく知られているダムの目的「治水・用水・利水」だけではなく、「環境・親和」といったことにも配慮したダムであることもよくわかりました。
<ダム天端ウォーク>
ビデオを見て、所長さんのお話を聴いて “手取川ダムカード” をもらったら、いよいよダム散策です。管理支所の職員さんが、案内してくれました♪
外に出てまず目についたのがこれ!洪水調節をするためのゲートが2門。

これを「洪水吐(こうずいばき)」と云います。

ゲートの大きさは、一門で幅15m、高さ14m、重さは143トンもあります。

手取川ダムは、(標高)465mの高さまで水を貯めることができて、そこを越えて水が入ってきたときに、このゲートを開けて洪水調節をします。左側が第一洪水吐、右側が第二洪水吐です。

因みにダム天端高さは、469mです。

ダム中段に見える変色したラインが2ヶ月前まで水があった位置。今は、台風が近づくシーズンなので、意図的に水位を下げています。

一年を3つの時期に分けて洪水調節容量、利水容量の割合が決められています。
第一期洪水期(6/15~10/15)、第二期洪水期(3/1~6/14)、それ以外は 非洪水期。

洪水吐ゲートの直上に来ました。スキーのジャンプ台を思わせる(見たことありませんが💦)豪快なスロープですねー♪ ゲートを開けると、ここを水が流れていくんですね、でもそれってかなり稀なことみたいです。

ダムができた昭和55年以降、放流があったのは、11回だけです。

びっくり⁈ 当初の計画通りにダムが機能している証拠、といえるのではないでしょうか。
でも…そうは思いつつ…


その 瞬間をいつか見てみたい💓

それはそうと、下流では、水が勢いよく吐き出されています。

維持放流」といいます

維持放流とは、水生生物などの生育環境・生態系を維持するため、洪水時や灌漑を要する時期以外も、ダムから常に一定量の放流が行われること。
手取川ダムの維持放流設備は、初めは計画されていませんでした。ダムができたことで元々あった川が干上がり、魚も住めない状態になったため、あとになってつくられたそうです。毎秒1トン(夏季)の水が流れているそうです♪

ダム全体を覆う石は、恐竜が生きていたころの石です。

手取層群五味島層(約1億5,000万年前)といって、“五味島(ゴミジマ)” は、この辺りの地名であり、多くのロックフィルがそうであるように、手取川ダムも地元の石を使ってつくりあげられました。
ダム湖の上流側には、まだ別の景色が広がっています♪

オレンジ色のラインは「網場(あば)」というものです。

ダムには、さまざまなものが流れてきます。網場は、流木やゴミなどを、浮きをつけた網で止めてダムのゲートや発電所の設備を守っています。

貯水池のなかに見えるのが「取水塔」です。ダム湖の水を取り込んで約1.5km下流にある「手取川第一発電所」に送っています。

「発電」は、多目的ダムである手取川ダムの重要な役割の一つです。

手取川第一発電所から第二・第三発電所を経て、鶴来にある浄水場へ至り、そこできれいにして私たちの飲み水になります。

遠くは能登島まで送られていて、石川県民の重要な水がめとなっています。
暑いんですけど、吹き上げる風がとても気持ちいいんです♪
ダムは、人の手で造られたものですが、こうしていると初めからここにあった自然そのもののように感じます。
石の隙間から伸びる雑草からダム湖の湛水まで、ここにはエネルギーが満ち溢れている!
そんなパワースポットのてっぺんで、稀少な風景に酔いしれることができた幸せな時間でした🎵
いつのまのか、時間がかなり押していたようです💦 移動です。
157号線にでて金沢方面に向かってトンネルを2つ過ぎたあたり、右側に見えてきた林道を下り始めました。
<ダム下流へ移動>

2022年6月のもの☝

途中、見覚えある門が…じつはここ2度ほど来ていて、写真はそのとき撮ったモノです。
維持放流をまじかで見れないかと期待しつつ…でも常時閉鎖(苦笑)

それが今日はオープン状態!
ダムを真下から見れる⁈🎵

途中にある副ダムの横を通り過ぎ…♪
視界を曇らせるミストが辺りを包み始めたと思ったら…


突然現れたクレストゲート!ド迫力です!
じっくり見たい衝動を抑えて突き当りを右に折れ、駐車スペースに滑り込みました。
そこは、さっきまで見下ろしていたダムの裾野でした♪
感激してるのは私だけじゃない、皆さん、写真撮る手がとまらない(笑)
手取川ダム堤体の管理は、電源開発㈱さんが行っています。案内役は、手取川事務所の所長さん。
これから、ダムの中にある「監査廊」を歩きます♪
監査廊とは、ダムの堤体内部に備わる管理用の通路。監査(検査、点検、測定)やゲート操作、排水、グラウト作業などに用いられる。
そしてその入り口がここ!
<ダム堤体内部監査廊>
洪水吐ゲートがある場所とは反対側、堤体の端っこ。所長さんの軽やかな声が響きます♪

今この辺りの気温は、28℃ほどですが、監査廊の中は10℃前後です。

なぜにこの温度帯なのかといえば、監査廊と同レベルのダム湖の水温が低いため、その影響を受けているんだそうです。どれどれ♪ 電気代ゼロ円の天然クーラーの効きようないかに⁈ 潜入開始!

足を踏み入れた瞬間、冷気がひんやりと身体を包みました。

やっぱ、涼しー♪

ドーム天井と一体となったコンクリートの壁が続きます。前に人がいるので前方のことはよくわかりませんが、かなりの距離があるみたい。水平に見えるけど、やや登ってる感じ?

床はウェットで乾いたところはひとつもなく、ときどき天井から水滴が落ちてきます
片側に側溝、壁は、ところどころ石灰のようなものが沁みだしていて、冷気と好奇心でぞくぞくします♪

スピーカーを通して所長さんの声が響きます。

 

えー今現在のここの気温は、11℃です。

廊下に置かれた温湿度計。気温は11℃、湿度は…なんと、100%⁈ どうりでこの水滴💦
サウナが苦手な私、11℃でよかったー♪ けど、だんだん寒くなってきた…(苦笑)

そんな環境だからこそできることがあります♪

ここで、地元の蔵元が、日本酒の熟成実験をしています♪

夏涼しく冬温かい監査廊の中は、一年中温度がほぼ一定なので酒造りに向いてるんだそうです。
電気代も掛からないから、SDGs にも通じてる♪ これ、いいですねー♪

さて、通路はまだつづきました。途中、突き当たったT字路を左に曲がって暫く行くと…
行き止まり、地下に向かう階段の先には、何がある⁈

地震計があります。

なるほど、とても大事な仕事がこれより更に深い地下で行われているんですね。因みに、手取川ダムができてからダム周辺に大きな地震は一度も来ていないとのことです。
皆、ここでUターンして今来た道を戻ります。
現れたのは、螺旋階段。さっき折れたT字路の反対側にあって、ダム天端へ続いている。
所長さんに聞いてみた。

私たちが歩いているのは、ダム天端の真下ですか?

そうです。遮水壁の中です。

水を通さないロックフィルのコア部分、その中に監査廊はつくられていて、今私たちはそこを歩いている。
どれくらいの距離なのか、聞きそびれてしまった💦(わかったらお知らせします)

閉鎖空間では、声がよく響く。後方でダムマニアと思しき若者たちの会話が聞こえる。他のダムと比べてきれいとか、プレキャストがどーとか、さすがマニア、愉しい人たち🎵

そうこうしているうちに出口の明かりが見えてきて…
開放された!

きれいだなー💓

心の声を察知されたか、堤体を眺めていたら、隣にいた所長さんが話し始めた。

この石の積み方ですけど…
我々専門的には “女積み” っていうんです。

ほー

もうひとつ、荒々しく積んであるのを “男積み” っていうんです。

へー

御母衣ダムとか九頭竜ダムとかは “男積み” なんです。
手取川ダムは “女積み” とても丁寧に積まれています。

なるほど、だからこんなに美しいんですね♪

それと、これはロックフィルでは珍しいことなんですが、半径(R)700mのアーチ型なんです。

ロックフィルでアーチをつくるメリットはない、と知りつつ施されたディテール。
私が堤体を眺めるたび、目を細めてしまうのは、設計・施工者の挑戦とこだわりが投影されてるからなのかもしれません。

 

<維持放流と洪水吐>

監査廊、女積みの堤体、だけじゃない! 忘れちゃいけない要チェックポイント!
それがこれ!
さっきダム天端から見下ろした “維持放流” 、毎秒1トンのパワーは、とにかくド迫力!

ダムができたあと、もともとあったこの川は、発電バイパス区間(2.2km)のため、水がほとんど流れなくなりました。そのため、藻類発生による悪臭や、魚が住めないなど、河川環境が悪化していったそうです。

維持放流菅を設けて維持放流を開始すると、死に体だった川が蘇りました♪ 放水路は既存のトンネル、よく見ると下流側にもうひとつ有り。
ゲートをできるだけ正面から見たところ♪ 標高差130mはなかなかのスケール感!
白く煙ってるのは、放流水から発生するミストで、逃げ場がありません💦
全景
茶色に見えてる道路部分は、年中水に濡れてるからのようで、つるっつる!(足元集中)
半濡れになりましたが、体感、メンタルとも気持ちよすぎて足が動いてくれません(笑)
で、タイムリミット!
またもや招集がかかり、再びの移動、向かうは、石川県最大の発電量を誇るここ!

手取川第一発電所見学

手取川ダムが、石川県最大の水がめなら、そこと直結する発電所が、雑魚なわけがない!
何がどんなふうに機能してるのか、知りたくなるのが、構造物マニアたち(私も端くれ)♪

駐車場をでて5分ほど車を走らせると、「電源開発㈱手取川第一発電所」の文字が浮かんだ建物に到着。
考えてみれば、発電所に入るのは生まれて初めてのような…「電気をつくる」って?発電機って?わからないから、じつは冷たいイメージで見てました。
この堅く閉じた門を勝手に「拒絶」と見なしていた少し前までのわたし(苦笑)
監査廊で話してくれた 所長さんメチャメチャ、フレンドリーで益々楽しみになっていました♪
建物の外に掲げられた看板に思わず足が止まる♪

J-POWER(ジェイパワー)」という言葉の響きがカッコいー🎵

そういえば、わたしたち、ふだん「電源開発」という名に接することがほぼない…。
発電所だから電気を作っているところ、は、わかる。じゃ北陸電力や東京電力と何が違うの?

いただいたパンプレットにはこう書かれていました。

J-POWERは、1952年、政府によって設立された電気の卸売り会社。設立以来、環境との調和を考えながら日本全国にたくさんの発電所をつくり、各地域の電力会社に電気を販売し、日本の電力の安定供給に努めてきました。
そして…
2004年には民間会社になり、J-POWERグループは、全国90ヵ所以上の発電所で電気をつくり、1,400kmの送電線で電気を送っています。…とのこと。

なるほど「卸し」だから、私たち一般ユーザーには馴染みがないのか、了解!

エントランスには、TVで見たことのあるアニメーションポスターとリアルな発電機模型があり

促されるまま、地下3階へ下りるとそこには、とんでもなくデカい空間が広がる室内がありました。
そこが…
発電機室 広っ!
天井も高いなーと見上げたら “クレーン” 発見!240トンまでのキャパがあるらしい
この広い空間は、12年に一度行われる、発電機のオーバーホールをするために必要だということです。
そしてこれが、2台で最大出力250,000キロワットを生み出すデカ発電機!
手前が1号機、向こう側が2号機です。
規模は石川県最大、ちょっとした火力発電所一台分の能力を持っています。

現在は、県内電力の1/4ほどを賄っているそうで、因みに号数は、川の上流側に位置するものから順につけられる習わしだそうです。

 

発電の仕組み “ダム水路式発電” 
水が高いところから低いところへと落ちる力を利用し、発電機に繋がった水車を回して電気をつくる、これが水力発電の基本。手取川第一発電所は、“ダム水路式発電” というしくみで電気をつくっています。
具体的に云うと、手取川ダムに貯まった水をダム左岸にある “表面取水型取水口” から、最大180㎥毎秒を取水して、1.5kmの “導水路” により、“調圧水槽” ”水圧鉄管” を経て、ダム下流約2.4km地点の発電所において、有効落差162.4mを利用し、最大出力250,000kwの電力を得る、というものです。
終始、楽しい話題を提供してくれた所長さん、お疲れさまでした♪
<終わりに>
手取川ダム運用開始から、今年(2022年)の8月で43年経つそうです。43年間、手取川に大きな氾濫はなく、洪水調節が効いています。日常のなかで、電気が足りなくなって困ったこともありません。毎日身体に入れる水は、美味しいし、気持ちがいい♪
これが、あたりまえの日常なんかではなく、気づかないうちに、静かで大きな力に生かされているのだと気づかせてくれました🎵
コロナで休止となり、3年ぶりに行われた旬間イベントは、期待以上の愉しい学びがあったので、また来年、歩きたいですね♪ そのころは、監査廊で醸された日本酒は、飲み頃でしょうか(笑)
エスコートしてくれた、手取川ダム管理支所の職員の皆さん、手取川第一発電所所長さん、それから、全国から来てくれたダム好きさんたちも盛り上げてくれて、感謝です♪
ありがとうございました🎵
J-POWER 電源開発株式会社
エネルギーと環境の共生を目指すJ-POWER(電源開発株式会社)のオフィシャルサイト。会社情報、株主・投資家情報、事業・サービス情報などをご案内しています。

地図・アクセスなど

名称手取川第一発電所
住所〒920-2336 石川県白山市東二口4
駐車場有り
アクセス白山ICから国道157号線を南へ70分
関連リンク手取川ダム概要

 

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