令和元年度「水の旅学」学習会~第3回/白山について

「水の旅学」とは、白山手取川ジオパークをより深く知ってもらうための学習会です。午前中の座学と午後の現地見学会(任意参加)という構成で開かれています。今年度の大テーマは「白山手取川ジオパークのストーリー」どこへ連れて行ってくれるのか、毎回愉しみです🎵

目次

◆「水の旅」今回のテーマは「白山」

白山では何が起こっているのでしょう♪

午前中の座学は、金沢大学の「青木賢人」先生と「平松良浩」先生という、ダブル講師で盛り上り、お楽しみの見学会は、どこへ連れて行ってくれるんだろうと思っていたら、何と!そこは白山登山の玄関口!

「別当出合」今年はすでに3回来てる(モチロン登山デ)💦

でも今日は登山じゃない。登山センターではなく、その前にある未知の道路のゲート前でマイクロバスは一旦停止した。国土交通省のNさんが鍵を開けバスを先導する。そうこの道路は砂防工事に関わる車両しか入れない専用道なのです。

登山シーズン真っ只中の土曜といえばハイカーも多い。いつもは向こう側にいる私。
バスの中から目が合った人たちに心の中で詫びをいれる(ごめん!今から愉しい体験してくる💓♪)

そしてバスは坂を上がり始めた。 期待でドキドキ♪ だってこれはもしかすると「もしか」するから♬

参加者全員にヘルメットが支給された♪ やっぱり!その「もしか(砂防の日?)」だった!
毎回のことだけど、私たちは事前に行き先を聞かされていない(まぁサプライズも愉しいけど♪)
何度かカーブを繰り返し、ときには短いトンネルもくぐっている。(おそらく中飯場あたり)

今自分のいる位置を把握したくて、見覚えのある風景を探すけど、景色はどんどん流れていき、窓に貼りついていたら…突然現れた!

ド迫力の 砂防堰堤

凄い土砂! 凄い迫力!

ここは「別当谷」

工事用の仮設橋の上からみる景色がエグイ!

あっという間に通過

おぉ―――――!

柳谷の 柱状節理 が迫ってくる♪
こんな間近で観れるなんて信じられない――!

◆ 甚之助雨量観測所 ◆

バスは「甚之助雨量観測所」という建物前で停まる

アンテナ?なんとも象徴的 場所は…

Googlemapでみるとここ。別当谷に架かっていた橋を渡って、今は甚之助谷側にでた。甚之助雨量観測所は、国土交通省 金沢河川国道事務所管轄、甚之助谷周辺の雨量の測定や監視が目的。そこにもうひとつ設置されてるのが…

地震計(丸蓋のなか)です。白山直下で起こっている地震(火山性地震)を検知できるらしい。そう、平松良浩先生(金沢大学教授)は、地震研究のスペシャリストなのです♪
         ☟
□■□■□地震や火山の解説□■□■□

過去に観測された地震データを解説中!
赤いところが白山山頂部かー。

火山性地震は深度が浅いところで起こる。
山頂直下で活動がつづいていることがわかる。

白山♪ 活きてるんだなぁ~♬

白山の解剖図だな

Nさんが、現在進行中の「甚之助谷地すべり対策排水トンネル工事」について解説されてます。内容は以下の通り

万才谷の河床岩盤である安山岩溶岩が冷えて固まる際にできた無数の亀裂に雪解水が浸透し、地すべりブロックへ地下水として供給されることが地すべりの原因の一つと考えられています。万才谷排水トンネルは、融雪や大雨による増水時に河川水が浸透する前に取水し、地すべりと反対側にある赤谷へ 水することにより、地すべりの動きを抑制する目的で施工しています。

甚之助谷の土塊は、1年に10cm移動しているということです

見上げれば…

貨物運搬用の索道(ロープウェイ)設備
山麓停留所(左下)と1号支柱(山の上)

先日、白山登山中に、ワイヤーに吊るされて下方に動いている「搬器」をみました♪そのときはだいぶ遠目でしたが、今はこんなにハッキリ近くに感じることができる♪ 幸せ♬

バスは、更に上流に向けて動き出しました。
別当谷に行くようです。
そこにあったのは

◆ 別当谷砂防堰堤群 ◆

階段状に造られた砂防堰堤の上部は大量の土砂で谷が埋まりつつあります。流れ出る土砂を食い止めているということです。最上流の赤い斜面が、平成16年/18年に崩落して大量の土石流が流れた跡。砂防堰堤はちゃんと役割を果たしてくれました。

Nさんの説明にも熱が入ります。

目の前には 昭和9年に大崩落した「別当大崩れ」が!

昭和9年7月、例年にない大量の融雪に400mmを超える豪雨が重なり、上流域では各所で崩落が発生。別当谷右岸斜面では、450~600万㎥の崩壊が発生。

砂防新道にある「別当覗」から見るのとは迫力が違う!真正面で見る迫力に感動ー♪85年前か…

よくみると不毛に見える岩肌に緑がみえる。土が流れてしまう地盤に草木は生えない。緑化は崩落が落ち着いている証。凄いな♪ 最後に見せてもらったのがここ

◆ 柳谷導流落差工 ◆

急峻な河床勾配と脆弱な地質条件から、山腹崩壊や土石流が頻発する危険な区域となっている柳谷で、平成9年度から被災の激しい柳谷第3号砂防堰堤を補強するため、導流落差工工事が始まりました。土石流や落石等から作業員の安全を確保するために、無人化施工技術を活用しました。

甚之助雨量観測所まで戻ってくると、そのすぐ下にジオポイントはありました。
右に見えるのは万才谷を下りてくる「不動滝」今は盛夏だから水は少ないですねー

この万才谷に集まる水が地中に浸透して甚之助谷の土塊を弱くしている
山は動いていて、山は生きていることを感じます!

ここからでは見えませんが、甚之助谷は中央から左上方向に延びていて、そこには日本で最初にできた階段式砂防堰堤である「甚之助谷砂防堰堤群」があります♪

不動滝の落下点には、おびただしい数の円形型枠がひな壇状に見えています。ここは落石などの危険性が高いため、無人化施工が行われているのだそうです。(クレーンなどを遠隔操作)

年間3,300mmを超える雨が降って、年間5ヶ月しかない工期という厳しい条件下、斜面崩落の危険もあるなかで、試行錯誤を繰り返し、12年の歳月をかけて平成19年に完成しました。

とはいえ、その後も補修等で現場は動いています。砂防工事に終わりはないのです。

甚之助谷砂防堰堤が造られたころは、今みたいな重機など有りません。命の危険と隣り合わせの中、人力で造り上げた先駆者の偉大さ!白山砂防に命を懸けてきた男たちの話とか、聴けば聴くほど胸が熱くなる♪

解説をしていただいたNさん感謝します♪ 現場を見て、聴いて、感じた、白山は最高です!
砂防の歴史はそのまま私たち白山市民、いえ、石川県民すべての暮らしに通じています。

もっと知って欲しいね、そして人里離れた山岳地帯で自然と、真っ向勝負している人たちがいることを忘れないでいたい。

そして活きてる山「白山」。貴方は大好きだけど、貴方の懐に呑み込まれるのだけはご勘弁(苦笑)
地震予知できるようになるかな、平松先生に期待しましょう♪

バスは再び別当出合のゲートへ

今日の学びはとても大きなものでした♪
白山がますますオモシロい!

次回は 9/14 「鳥越・吉野谷・河内地域について」

◆ 周辺にあるジオポイント◆

別当出合は室堂や白山の主峰・御前峰への登山口。バス停の近くには、トイレ、水場、登山届ポストを備えた別当出合休憩舎がある。市ノ瀬から東へ6kmのところにある。

 

 

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