河岸段丘崖に鎮座する白山さんと金剱宮~2020年ジオモニターツアー

海と扇状地のエリア 【白山比咩神社周辺/白山市鶴来地区】
2020年秋、白山手取川ジオパーク/水の旅・石の旅/モニターツアーのレポートをお届けします。 毎回、公認観光ガイドさんが案内をしてくれて、ジオパーク3つのエリアのお勧めポイントを散策します。午前10時スタート、所用時間は約2時間。白山麓の豊かな自然を満喫したり、白山信仰にまつわる歴史を辿ったり、個性派揃いのガイドさんの名調子を聴けるのも愉しみのひとつです🎵

目次

コース紹介

白山市鶴来地区は、縁結びの白山比咩神社と金運の金剱宮が鎮座するパワー溢れる街。2つの神社は、手取川がつくった河岸段丘の平坦な面に建てられていますが、そこに至る参道の入口は、それよりずっと下の市街地。山あり滝あり、段差の街「鶴来」を縦横に散策するルートを楽しみました♪

河岸段丘とは?
川の流れに沿ってつくられた階段状の地形のことをさします。階段の上の面を「段丘面」、崖になっている側面を「段丘崖」とよんでいます。


ガイドさんからいただいた、鶴来の「地形断面図」これを頭に置きながらテクテク参ります♪ 集合場所は、しらやまさん(白山比咩神社)の表参道駐車場。人混みに背を向け、向かった先は…

① 古宮公園(親水公園)

しらやまさんから歩いて1分

【水戸明神】

室町時代まで、白山本宮(しらやまさん)があった場所です。すぐそばを手取川が流れています。水戸明神は、手取川扇状地へ水の供給をしている「七ヶ用水」の水門を守っています。

断面図によると、このあたりの標高は100mほどで河岸段丘の〈下位面〉に位置しています。白山さんは、今よりずっと低い場所にあったんですね。


本日ガイドの磯部さん。鶴来のことなら何でも聞けちゃう頼もしいジオパーク公認ガイド♪

明治のはじめ、富樫用水を使いよくするために「安久濤淵(あくどがふち)」からトンネルを掘って、手取川から水を引き込むという難工事を成功させた「枝 権兵衛」さんの偉業が記されています。


【安久濤淵】

公園内からじゃ見えないので外側から見てみましょう!
手取川に係る歩行者専用橋「和佐谷橋(わさだにばし)」から(こちら☟別の日に撮ったものです)


左の窪んでいるあたりが安久濤淵です。急流手取川の中でも最も緩やかな淵の一つだったということが、工事を起こすきっかけになりました。
「久しきにわたり波(涛)立たぬ瀞淵」の名勝としてその名がつけられたそうです。

② しらやまさん(白山比咩神社)

表参道駐車場に戻ってきました。一の鳥居をくぐります。

ここから拝殿入口の神門まで、階段状の参道がつづいています。長さ250m、108段!
琵琶滝、ご神木の老杉、大ケヤキ…深呼吸を何度もしたくなるほど気持ちのいい石段です♪


参道を歩いていると、磯部さんから、神社の鳥居についての説明がありました♪
忘れないように書き留めておこうと思います。

 

神社の鳥居の種類

【明神(みょうじん)鳥居系】
笠木・島木(最上部)が上部に反り返ったもの(笠木は反り増し有り)


そのなかで 笠木があって台輪がないもの が、基本の「明神鳥居」といいます。
しらやまさんでは、二の鳥居(上の写真)と、三の鳥居一の鳥居が、該当します。


こちら、三の鳥居、反りが美しいです♪


こちらは 荒御前神社 の鳥居
島木と柱の接合部に「台輪(だいわ)」と呼ばれる輪が付いているので、「台輪鳥居」といいます。

 

【神明(しんめい)鳥居系】
笠木・貫・柱のすべてが円形、笠木は反りがないもの


そのなかで 貫が円形ではなく四角い形状で、柱の外に突き出ていないものを「靖国鳥居」といいます。
いちばんシンプルなフォルム♪ しらやまさんのなかでは他に、住吉社 と…

北参道の鳥居 が該当します。

鳥居の話はここまで…コースに戻します。神門をくぐり、拝殿のまえを通り過ぎ、訪れたのが…


【禊社・禊場】

「禊場」でした。体を清め、罪やけがれを洗い流す神聖な場所がです。
予約をすれば「みそぎ体験」ができます。
正面に見える滝は、白山の伏流水を利用したもので、荘厳な雰囲気が漂いますね♪


【拝殿】

これぞ「ザ・白山さん」♪ いつも落ち着いた佇まいに癒されます♪ お参りを済ませ、案内されたところは…


【白光苑(びゃっこうえん)

境内の北東に造られた静かな庭園です。北参道の手水舎近くに「白山霊水」が汲める水場があるのですが、その奥が入口になっていました。拝殿の裏側あたり、鬱蒼とした木々が一帯を覆っている先に見えてくるのが本殿の屋根です。

正面からは見えません。表側の喧噪を離れ、静寂のなかで神さまと向き合うのもいいものですよ♪

 

駆け足ですが、白山さんとはこれでお別れです(なにせツアーなので先を急がないと…💦)

北参道の鳥居を抜けると300台収容の大駐車場(三の宮)にでます。ここに車を止めてお参りされる方が多いのですが、本来は表参道(一の宮)から入るのが本筋。

断面図によると、このあたりの標高は120mとありますね、ここは河岸段丘の〈中位面〉に位置しています。

③ 舟岡山

そして、目に飛び込んできたこんもりとした御山!舟岡山です。
白山比咩神社が、初めて建てられた場所だと言われています。遊歩道ができているので、軽くハイキング⁈


入り口にあった立て看板には

舟岡山には「剱城」とも呼ばれた「舟岡城」があったと書かれています。平安時代には城の機能を有していたとあり、源義経も通ったということです!


【舟岡城(剱城)想像図】

拡大してみました! 堀や土塁、曲輪などが配置された典型的な山城です。
常に戦があり、命の危機にもさらされていたのでしょうね、戦国時代を想像してちょっとドキドキ♪


笹や杉が生い茂る鬱蒼とした林です。気軽に歩けるところですが、今年は熊の目撃情報も多いので一人立ち入る気にはなれませんでした。ツアーに感謝♪


土塁の跡が見えます。そして開けた空間にでました。


【白山比咩神社創祀之地(そうしのち)

白山比咩神社がはじめて鎮座した場所であることを示す顕彰碑です。断面図によると、ここは、標高180mとあります。河岸段丘の〈高位面〉になります。


平坦なのかどうなのかもわからないくらい草木で覆われた、曲輪(区画された平坦地)の跡


展望台からは、手取川が見えます! 現在は木々が生い茂っていて見にくいですが、かつての見晴らしは抜群によかったであろうと思われます。敵軍への備えは堅し、ですね


道標はバッチリ


【舟岡山全体図】

遊歩道の出口に案内図がありました(これ最初に見たかったですね💦)

東口から入って北口からでてきたことになりますね(矢印の反対順路)今回は、通り抜ける感じになりましたが、次回は全ての山道を歩いてみたいです♪

舟岡山遺跡

遊歩道はまだつづいています。
案内板の前の「白山青年の家」の横を通り過ぎるとタイムスリップした風景が待っていました♪

縄文時代中期の村の跡「縄文住居遺跡」です。
昭和20年代に発掘調査が行われて竪穴住居の跡と土器や石器が発見されました(写真のかやぶき建物は跡地に復元されたもの)
3,500年まえも、けっこう高台に住んでいたんですね、やっぱり洪水が怖かったのでしょうか


遺跡をあとにしたら下り坂になり、突きあたった道路を今度は上る坂
かと思ったら正面にみえる林の手前をまた下り、とアップダウンが激しくなってきました!


右側は崖地ですね、これが段丘崖です。


木々が育ち過ぎててわかりにくいですが、ずっと段丘崖がつづいています。

そこに現れた一筋の川⁈

この「平等寺川」というのは、「後高(しりたか)山系」(獅子吼山系)を源流域とする犀川の支流です。

後高山というのは、一般的にいうところの「獅子吼高原」をさします♪

舟岡山の近くを流れていますよね♪
縄文時代の人たちがこんな高台に住めたのは、この川のおかげだったりして⁈
にしても、土石流危険渓流とは穏やかではありませんね、急河川はいたるところにあります。備えは万全に!

平等寺川は、鶴来の街中を流れ、手取扇状地を下り、高橋川、伏見川となって犀川に至り、日本海へそそぎこみます。磯部さんの説明によると、

鶴来市街地の東側を屏風を立てたように形成された標高約600mの山稜、ここから標高約100mの市街地へ500mの落差をもって17もの河川が流れ下っていて、手取川本流と高橋川へそそいでいる

とのことでした。ここにも水の旅のダイナミズムがありましたね♪

火伏不動尊


なんとも趣の在る御社ですね♪ 文字通り、鶴来の街を火災から守ってきたお宮さんです。
誘われてるみたいな石段、これヤバいかも…、駆け上りたい衝動が…(笑)

真宗大谷派鶴来別院


鶴来にこんなに大きなお寺さんがあると知ったときはびっくりしました!
本堂や薬師如来懸佛など、白山市指定文化財を保有しています。


別院さんに移築された加賀藩筆頭家老本多家の門【御殿門】


苔むした裏道と石垣の佇まいにホッとさせられます そぞろ歩きます♪

金剱宮

さて、そろそろクライマックスです!お待ちかね、金運の神さまの世界へ


【女段(南参道)】

上ります!やっぱり上がるのです! 金剱宮下の境内からなだらかに上る石段です。


【不動滝】

これぞ段差を直に感じさせてくれる風景ですね。女段の中ほどにある、金剱宮から鶴来日詰町へと河岸段丘を流れ落ちる天然滝! 高さが約15m、こんな街中に滝があるというのがおもしろい♪

隣には「石清水社」、通路反対側には「小川幸三生家記念碑」を通り過ぎ、県道下の地下道を上っていくと


【拝殿】

紀元前95年(崇神天皇3年)に創建されたと伝えられています。しらやまさんより古い!
手取川から30m高く洪水氾濫水害を受けない河岸段丘の高台に鎮座しています。


【乙劔宮】

金剱宮を有名にしたお宮さん⁈ お金に困りたくなかったらお参りするといい…らしい

ということで、今日のツアーは終了です。
スタート地点、白山さん表参道駐車場に戻りました。

横町うらら館

帰り道沿いちょっといい処♪


およそ180年前に建てられた江戸時代の商家を、無料休憩所として提供しています。「うらら」とは、鶴来語で「私たち」という意味。どなたでも気軽に見学できます♪

まとめ

白光苑以外は何度か訪れたことがあるスポットばかりでしたが、さすがガイドツアーですね♪ ジオの視点で見ると新しい発見が次々とあって、とても楽しい2時間でした。 

補足ですが、白山さんや金剱宮があったところは「朝日台地」というのだそうです。ここと市街地とが、約20mの段丘崖で隔絶されていることのスケール感を実体として感じられたことが、一番の収穫でした♪

今回のコース、鶴来を少しでもわかるかたにはぜひおススメします!初めてのかたには、地図を用意できなくてごめんなさい💦 街歩き、楽しんでくださいね

地図・アクセスなど

名称横町うらら館(よこまちうららかん)
住所石川県白山市鶴来新町タ1
定休日年中無休(旧盆、年末年始を除く)
営業時間10:00~16:00
電話076-272-0001、076-273-5699
駐車場
交通アクセス白山ICから国道157号線を南へ20分
北陸鉄道石川線鶴来駅から徒歩12分

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